イタリア語の単語の語尾が母音で、次に母音で始まる単語の場合、アポストロフィがついて省略される場合があります。冠詞などにアポストロフィがつくのは知っていたけど、このことを、文法用語でエリジオン、イタリア語では、「elisione」と言うらしい。そんな文法用語があるとは知らなかったよ。
前回の記事で、イタリア語の非強勢形人称代名詞で、そのあとに続く動詞の先頭が母音の場合、人称代名詞の語尾の母音が「’」アポストロフィに代わる場合があることを知りました。
調べたら、他にもいろいろルールがあるようです。
アポストロフィが付く「elisione」
ルールは、大きく分けて3つあります。
絶対に付ける場合
以下にあげる4つ項目は、絶対にアポストロフィをつける
定冠詞 lo, la と、前置詞 + 定冠詞
定冠詞 lo, la は、次にくる単語が母音で始まる場合
例えば、
lo apostrofo → l‘apostrofo
lo inizio → l‘inizio
lo esercizio → l‘esercizio
la acqua → l‘acqua
la uva → l‘uva
la iscrizione → l‘iscrizione
のように、定冠詞の語尾がアポストロフィに代わります。
前置詞+定冠詞の場合も同様と言えます。
例えば、
dello uomo → dell‘uomo
allo ospedale → all‘ospedale
nella automobile → nell‘automobile
など
不定冠詞 una
不定冠詞の場合は、女性形単数「una」のみになります。
例えば、
una amica → un‘amica
una esperienza → un‘esperienza
una impresa → un‘impresa
などのようになります。
逆に、男性形単数の場合は
un albero は、 un albero で un’albero とはならない。
形容詞 bello, quello
男性形形容詞の bello と quello は、次に続く単語が母音で始まる場合
例えば、
un bell’albero
quell’immagine
逆に、女性形形容詞の bella と quella は、アポストロフィは付きません。
形容詞 santo, santa
形容詞 santo, santaの場合は、男性形、女性形どちらも省略されます。
例えば、sant’Anna, sant’Angelo など
義務じゃないけど付く場合
上記にあげたもの以外で、絶対ではないけれど、一般的に省略される場合があります。
前置詞 di
前置詞 di の場合、次に続く単語が母音で、特に「i」で始まる単語の場合
例えば、
d’accordo, d’argento, d’improvviso, d’invitare
など
人称代名詞(非強勢形)
非強勢形の人称代名詞 lo, la, mi, ti, si, vi, ne の場合は、省略される場合もあります。
例えば
la ho visto → l’ho vista
lo ho cercato → l’ho cercato
など、直接補語代名詞の場合は、省略されます。
しかし、以下の場合は、
lo incontrai もしくは l’incontrai
la ospitò もしくは l’ospitò
mi ha detto もしくは m’ha detto
ti afferro もしくは t’afferro
si ammala もしくは s’ammala
など、どっちでもいいようです(義務じゃない)。
形容詞 questo, quanto, alcuna など
例えば、quest’anno, quest’ultimo, quant’altro, alcun’altra
のように、省略可能です。
副詞、接続詞 come + 動詞 essere
副詞、接続詞の come と、動詞 essere の場合
例えば
come è grande! → com’è grande!
come era bello. → com’èra bello.
のように、come の次に続く動詞 essere が、母音「e」で始まる場合に、come の語尾が省略されてます。
まったくつけない場合
逆に、単語間が母音続きでも、絶対しないものもある。
代名詞(非強勢形)le, li
直接目的語代名詞 le, li は、次に続く単語が母音で始まっても、省略されない。
例えば、
le ammiravo, li incontrai
間接補語代名詞 le も、同様です。
le affiancherò un tutore
人称代名詞(非強勢形)ci
非強勢形の人称代名詞 ci (noi, a noi)の場合は、次に続く単語が、動詞 essere と、動詞 entrare の母音「e」で始まる場合のみで、それ以外は全くないです。
例えば、
ci è → c’è
ci era → c’era
ci entra → c’entra
のようになるが、
ci ama, ci osserva, ci andrò などは、省略しません。
半子音「i」
半子音「i」で始まる単語の場合は、省略されない。
例えば、di ieri, lo iodio, lo iato など
ここまでは、単語間で母音が続くとアポストロフィに代わって省略されるか、省略されないかの場合を見てきました。
調べていくうちに、アポストロフィはつかず、単語の語尾が省略されるパターンもあるようなので、ついでに見ていこう。
語尾が省略される「troncamento」
「troncamento」とは、日本語で言うと、「語尾音節切断」となります。単語間で、次に続く単語が、母音もしくは子音で始まる単語で、その前の単語の母音の語尾もしくは、最後の音節を省略することです。発音をより流暢にし、コミニケションを容易にするために行われるそうです。
例えば、
Hai avuto una gran bella idea!
これは、gran-de 最後の音節が切断されています。
アポストロフィはつかない
通常「troncamento」は、アポストロフィをつけません。
例えば、gran chiasso, bel viso, quel cane
という感じです。
では、具体的にどの単語間で、どのように切断されるのか?
男性不冠詞 uno
男性形不定冠詞 uno と、それから派生した複合形(alcuno, ciascuno, nessuno など)は、子音+母音で始まる名詞の前でのみ、切断されます。
uno piatto → un piatto
nessuno tesitimone → nessun tesitimone
男性形容詞 quello, bello, santo, grande
男性形容詞 quello, bello, santo, grande, は、次にづづく単語が子音で始まる場合に、最後の音節が切断されます。
例えば
un quello libro → un quel-lo libto → un quel libro
un bello tempo → un bel-lo tempo → un bel tempo
il Santo Raffaele → il San-to Raffaele → il San Raffaele
il Grande Gurì → il Gran-de Gurì → il Gran Gurì
のように、形容詞の最後の音節が切断されます。
形容詞、代名詞 tale, quale
形容詞、代名詞の tale, quale は、次に続く単語が母音でも子音でも、男性形、女性形の両方で始まる場合に、語尾が切断されますが、ただし、「tal’è」「qual’è」のようにアポストロフィをつけるのは間違いのようです。
その他
固有名詞の前にある肩書は、語尾の母音もしくは、最後の音節が切断されます。
例えば
frate → fra
suora → suor
dottore → dottor
signore → signor
professore → professor
など
アポストロフィがつく例外もある
「troncamento」は、アポストロフィをつけないのが通常だけど、アポストロフィがついて、語尾が切断される場合もあるようです。
短縮形式のpoco, modo
例えば、
sono un po’ stanco/a.
というフレーズはよく聞いたり使うけど、この「po’」は、「poco」の短縮形だったと改めして知りました。
そして、modo = alla maniera di の場合
例えば、
a mo’ di esempio
のようになるようです。
動詞の命令形
動詞 andare, dare, dire, fare, stare の命令形(2人称単数現在形)は、アポストロフィがついた「troncamento」だったんです。
vai → va’
dai → da’
dici → di’
fai → fa’
stai → sta’
最後に
ざっと見てきましたが、この記事は以下のサイトを参考にまとめました。
参考サイト>
libreriamo.itopen_in_new , zanichelliopen_in_new , treccani.itopen_in_new , focusjunior.itopen_in_new , scriveregrammaticando.itopen_in_new