イタリア語の単語 pranzo(昼食)のことを、私はずっと「プランツォ」と発音してましたが、どうやら違うようです。
イタリアでは外国の映画はすべてイタリア語吹き替えなんですが、ある時、テレビで外国映画を見ていた時、「プランゾ」と声優さんが発音していたんです。
えー!って、違和感すら覚えました。
でも、プロの声優さんの発音ならば、間違いない!が、なんでだろう?と思いました。
どうやら、イタリア語の子音「Z」について、いろいろ規則があるようです。
イタリア語の子音「Z」
イタリア語の子音「Z」は、無声子音/ts/と有声子音/dz/があります。
ちなみに、イタリア語のアルファベット「Z」の発音は、有声子音で、/d͡zeta/ です。
では、具体的にどうなのか?
無声子音の/ts/
「Z」が無声子音の場合は、大きく分けて4つの規則があるようです。
接尾辞 -anza, -azzare, -enza, -ezza, -ozza, -ozzo, -onzolo, -uzzo, -uzza
1つめは、小見出しに羅列したように、接尾辞の種類がたくさんありますが、覚えるしかないです。汗
例えば、speranza, spiegazzare, assenza, grandezza, carrozza, bacherozzo, raperonzolo, peluzzo, pagliuzza などは、「Z」の音は濁りません。
ただし、
brezza は、/ˈbreddza/と発音し、有声子音になります。
第二音節が無声子音の場合
2つめ、zoccolo, zaffata, zappa, zitto のように、
「Z」で始まり、次の音節が子音 c, f, p, t の場合は、濁らない。
えー! ってことは、この法則でいうと、zucca, zafferano, zuppa, zattera は濁らないのかと調べたけど、zafferanoは濁ったよ。。なんでだよ?
…と思って調べたら、それは、規則外だった。
なぜかというと、そもそもイタリア語の「Z」の無声子音/ts/は、イタリア語単語「calza」の発音に使用され、それはどうやら古典ラテン語「-ti-」から由来します。
例えば、
ラテン語 pretium → イタリア語 prezzo
ラテン語 tertium → イタリア語 terzo
ラテン語 facetia → イタリア語 facezia
なんだそうです。
ただ、あてはまらない単語もあって、
zaffiro, zefiro, zotico, zeta, zafferano, Zacinto
これらの「Z」は濁ります。
子音「l」が前にある場合
さて3つ目は、
alzare, filza, sfilza, milza, scalzare, colza などのように
「Z」の前に「l」がある場合、は無声子音です。
ただし、elzeviro, belzebù の「Z」は濁音です。
ia, ie, io が後に続く場合
最後の4つ目は、agenzia, filza, Lazio, grazia, silenzio, polizia みたいに、「Z」の後に ia, ie, io が続いたら清音になります。
しかし、例外もあります。
azienda は、IPA記号で表記すると、/aˈdzjɛnda/ です。
有声子音の/dz/
「Z」の有声子音のそもそもの話をいうと、
イタリア語の「Z」の有声子音/dz/は、イタリア語の単語「zero」の発音に使われ、起源は古典ラテン語の「-di-」から来ています。
例えば、
ラテン語 prandium → イタリア語 pranzo
ラテン語 radius → イタリア語 razzo
あー、だから、pranzo は、濁るんだ! ちょっとわかってきた。
では、具体的に見ていこう。
「Z」の有声子音のルールは、5つあります。
母音が2つ後に続く場合
zuavo, zaino, zoologo のように
「Z」の後に母音が2つ続くと、濁音になります。
しかし、注意が必要で、ia, ie, io が後に続く場合は無声子音です。
第二音節が「Z」で始まる場合
zanzara, zanzariera, zizzania, zenzero など
「Z」で始まる単語で、次の音節が再び「Z」で始まる場合は発音が濁ります。
なんですが、
zazzera は、 /ˈt͡sat͡sera/ と例外で無声で発音します。
第二音節が有声子音の場合
zibibbo, zodiaco, zagara, zelante, Zama, Zenobio, zerbino, zavorra みたいに
「Z」で始まり、次の第二音節が子音 b, d, g, l, m, n, r, v, の場合は、濁ります。
ただし、
zanna は、濁音も清音もどちらも発音し、 zampa は /ˈtsampa/ と発音します。
母音の間に「Z」がある場合
azalea, bizantino, azoto, ozono, Ezechiele, Azeglio, nazareno のように
母音の間に「Z」が挟まれている場合は、濁る発音になります。
接尾辞 -izzare の動詞とその派生語
organizzare, sonorizzare, civilizzare, civilizzatore, civilizzazione など
-izzare で終わる動詞と、その派生語は濁音になります。
ちなみに、civilizzazione の -zione は、/ˈtsione/です。
無声、有声どちらの発音でもよい「Z」単語
無声と有声の法則を、ざっと見てきましたが、どちらの発音でも言える単語があります。
例えば
Avezzano, Bolzano, Catanzaro, lazzo, melanzana, sbronza, scorza, Venezuela, zana, zangola, zattera, zimbello, zinco, zincone, zingara, Zingarelli, zitella, zolla
これらの「Z」は清音でも、濁音でもどちらでもOKです。
ここまで一通り見てきてわかってきたと思いますが、
「Z」単語でよく間違える発音
一般的によく間違える単語の例をあげると、
Amazzonia
aguzzino
brezza
lapislazzuli
lonza
Monza
nazismo
pranzo
razza (系統)
razza (魚)
ribrezzo
zaffiro
zampogna
zar
zio
zoccolo
zolfo
zucchero
※太字は濁音です。
zio は /ˈtsio/ と発音するのが正しいようです。今まで「ジオ」と言ってました。
ちなみに、pranzo の「Z」は濁音だと分かったけれど、動詞のpranzareも、同様です。
ほかの注意点として、無声、有声関係なくどちらも母音に挟まれると、二重子音になるようです。
「Z」が母音の間にあると二重子音になる
「Z」の場合は、単語の文字内に1つ綴り(z)でも、2つ綴り(zz)でもどちらでも、母音に挟まれると、二重子音になります。
以下の3つが一般的な法則です。
母音+接尾辞 -zione
stazione, eccezione, lezione, iscrizione など
母音+接尾辞 -zzo/a
ragazzo, ragazza, terrazzo, terrazza, palazzo, など
母音+接尾辞 -zia/o
polizia, negozio, spazio, grazia など
ただし、pazzia, razzia は別物扱いらしいです。
二重子音について、詳しくはこちらもご参照ください。
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最後に
イタリア語は、地域によって方言やアクセントが異なるので、どこまで突き詰めるかは自分次第です。
参考サイト>
La Z aspra o sorda | Język Włoskiopen_in_new
La Z dolce o sonora | Język Włoskiopen_in_new
その他の参考資料はこちらに記載