イタリア語の母音は、日本語と同じa, i, u, e, o, だけど、「e」「o」については、オープンとクローズの2種類があり、母音は合計7つの発音になります。オープンとクローズってどんな?と思うかもしれません。では、確認しよう。
基本母音の舌の位置の画像を追加しました。
イタリア語の母音
イタリア語の基本母音については、別の記事でまとめました。
こちらも併せてご確認ください。
母音「e」は開口音と閉口音の2種類
イタリア語の母音「e」は、クローズの/e/と、オープンの/ɛ/があります。開口音は、アクセントがある音節のみで、このため、イタリア語の単語に2つの広母音を持つことはできないようです。
広母音とは、舌と上あごが最も離れて調音される母音のことをいう。あるいはそれに近いものも含める。舌の位置から低母音、また口の開きから開母音とも呼ぶ。
引用元: ウィキペディア/広母音open_in_new
クローズの/e/と、オープンの/ɛ/の違いは?
まずは、IPA規格に基づくイタリア語の母音の台形で確認しよう。これは、口の中の舌の位置の断面図を記号化したようなものだと、そう私は解釈しているんだけど、口の中の構造がわかる横顔の断面図と重ねてみるとわかりやすいかもしれない。
※基本母音の舌の位置の画像を追加したので、併せてご確認ください。
Italian_vowel_chart.gif: Ƶ§œš¹IPA_vowel_trapezium.svg: *Ga_open_allophones.svg: Angrderivative work: Moxfyre (talk)derivative work: Moxfyre, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
クローズの/e/は、接続詞の「e」
Maria e Luca.
/e/ は、口をあまり開けず上あごと舌の距離が図のような場所で発音する。
画像出典: Wikimedia Commons
音声ファイルで確認しよう。
オープンの/ɛ/は、動詞essereの「è」
Lei è
逆に/ɛ/ は、口を大きく開けて、舌の位置は図のような場所で発音する。
画像出典: Wikimedia Commons
音声ファイルを聞いてみよう。
有名イタリア企業商品名の/e/と/ɛ/の発音どっち?
イタリアに関心がある人であれば、良く知っているイタリア企業名や商品名だけど、正しく発音できるかな?
その前に、どんな企業、商品なのか、少し説明します。
Vespa
イタリアのオートバイ・メーカーで、航空エンジニアCorradino D’Ascanioの設計に基ずく1946年4月23日に特許を得たPiaggioのスクーターモデル製品名です。Vespaは、イタリア語でスズメバチ。
映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘップバーンさんとグレゴリー・ペックさんが映画のシーンでローマの街を乗り回した印象的ですが、若い世代の人たちはわかるかな?
Ferrari
フェラーリは、イタリア、エミリア・ロマーニャ州モデナ県のマラネッロが本拠地です。黄色いラベルに黒い馬のロゴが印象的な高級スポーツメーカーです。フェラーリの車名「575Mマラネッロ」は、この町の名にちなんだらしいですよ。
nutella
ヌテッラは、イタリア、ピエモンテ州が発祥地で、現在アルバに本拠地を置く食品会社Ferreroが、第二次世界大戦後の当時、チョコレート原料のカカオ不足で、代わりに、ヘーゼルナッツ(イタリア語でnociola)の砂糖入りペーストをカカオに混ぜたことが発端のようです。1946年当時は、Il Giandujot(ジャンドゥーヤ)のレシピで、パンに広げるようにスライスさらたパンの形をしていたようです。ちなみに、ジャンドゥーヤは、伝統的なカルネヴァーレの仮面から由来があるようですよ。1951年にペースト状のジャンドゥーヤが新たに製品され、1964年にnutellaが誕生したそうです。
Pirelli
1872年に設立されたイタリア ミラノに本社を置くタイヤ、フィルターなどを製造する企業です。2015年に、中国化工集団の傘下となってしまった。F1などのモータースポーツ好きな方なら、ご存知でしょうか。
S.Pellegrino
緑の瓶で、水色のラベルに赤い星がついてる炭酸入りミネラルウォーターの名前です。イタリア、ロンバルディア州ベルガモ県の温泉地の湧き水で、1899年から創業されている。
さて、本題に戻ります。
クローズの/e/の発音する企業名
Ferrari, S.Pellegrino
オープンの /ɛ/の発音する企業名
Vespa, nutella, Pirelli,
😅
母音「o」も開口音と閉口音がある
イタリア語の母音「o」も、クローズの/o/と、オープンの/ɔ/の2つの発音があります。母音「o」も、母音「e」と同様に、開口音はアクセントのある音節のみで、イタリア語の単語には2つの広母音を持たない。
クローズの/o/と、オープンの/ɔ/の違いは?
母音「e」の箇所で紹介した、イタリア語の母音の台形図を、もう一度確認してみてくださいね。
クローズの/o/は、接続詞の「o」
carne o pesce
/o/ は、口を大きく開けずに、上あごと舌の距離が近く、舌の位置が奥側にあるイメージですかね。
画像出典: Wikimedia Commons
こちらも、音声ファイルで確認してみましょう。
オープンの/ɔ/は、動詞avereの「ho」
Io ho
/ɔ/ は、開口音の/e/ と同じくらい大き目に口を開けて、舌の場所は奥側にあるイメージで発音します。
画像出典: Wikimedia Commons
音声を聞いて確認してみよう。
イタリア有名企業名で/o/と/ɔ/の発音どっち?
念のため、イタリア有名企業名を簡単に説明します。
Lamborghini
ランボルギーニは、イタリアの高級スポーツカー、SUVブランドの製造会社です。メーカーのエンブレムが闘牛で、闘牛にちなんだ車名が多いらしいです。
Dolce & Gabbana
ハイファッションブランドで有名ですよね。イタリア、ミラノに本社があります。
Costa
正式名はCosta Crociereで、1854年にジェノバに創立された、クルーズ事業を専門とする会社企業です。
Buitoni
ブイトーニは、1827年にトスカーナに創立された、イタリアの食品工業会社です。
Pernigotti
1860年にピエモンテ州アレッサンドリア県ノヴィリグレの町に設立され、ジャンドゥーヤやヌガーなどで有名なメーカーです。
クローズの/o/の発音する企業名
Lamborghini, Dolce & Gabbana, Buitoni
オープンの/ɔ/の発音する企業名
Costa, Pernigotti
😅
地域によって依存する開口音と閉口音
母音「e」と「o」の開口音と閉口音の2種類の発音は、イタリアで地域差や個人差があり、たくさん異なるようです。イタリア中部地域の発音では、標準的なイタリア語の発音に、似ているらしい。
最後に
余談・脱線しまくりでしたが(汗)、もとを正すと、イタリア語の母音「e」と「o」は開口音と閉口音の2種類の発音があり、その違いについてまとめました。違いについて参考になれば幸いです。😊